最近読んだマンガの中でも特にお勧めなのはこの1冊

「リバーズ・エッジ」は、1994年の6月に岡崎京子によって宝島社から単行本化された青春コミックになっております。

ストーリーの舞台に設定されている1990年代前半の独特なムードと、日本全国どこにでもあるような地方都市の街並みが映し出されていきます。

淀んだ川が流れていく河口近くの地上げされたままの土地の殺伐とした景色と、全ての植物が枯れ果てていく中でセイタカアワダチソウだけが生い茂る異常な生命力が味わい深かったです。

ヒロイン若草ハルカの、恋人観音崎と一緒にいながらも何処か満たされることのない虚無感に溢れる表情が印象的でした。

美しくも何処か儚いイメージが漂っている山田一郎に、ふとしたきっかけによって惹かれていく瞬間が上手く映し出されていました。

河原に打ち捨てられた身元不明の死体をたったひとつの心の拠り所とする、山田の寄る辺のなさが伝わってきました。

著者のもうひとつの代表作とも言える「ヘルタースケルター」にも登場する吉川こずえが、本作品の中でゲスト出演しているなど遊び心も良かったです。

死体のありかを知り密かに山田と共有する、こずえの陰りを帯びた眼差しが魅惑的でした。

山田がハルナとこずえに泣きついて秘密の死体を地中深くに埋めるシーンには、美しい皮膚の下に隠されている残酷な現実についても考えさせられました。

いじめや初体験を始めとするセンセーショナルな出来事でも、さらりとしたタッチで絵描き出しているのが良かったです。

10代の少年少女たちに特有な残酷さが、時には社会的な弱者や小さな生き物に向けられてしまうことを考えさせられました。

在り来たりな日常生活と気だるい退屈しのぎが積み重なっていき、やがてはひとつの悲劇へと収斂していくクライマックスが圧巻でした。

お互いを傷つけ合った後にそれぞれの道のりを歩んでいき、2度と巡り会うことのない若者たちの姿が心に残りました。

今まさに青春時代を謳歌している若い人たちだけではなく、幅広い世代の方に手に取って頂きたい1冊になります。